私は20代からSADが原因と思われる症状が出始めました。
そして意を決して心療内科の門を叩いたのが30歳の時。
10年近くもの間、「私はSADなのでは」「でも違うかもしれないし」何より「心療内科って精神科と同じでしょ?ちょっと怖い…」と思い続けていました。
その頃はSADを治さなくても、発症はごくまれで、どうにかなる生活だったんですね。
そんな私がどうして心療内科へ行く気になったのか、今回はそのあたりをお話していきたいと思います。
きっかけは首の震え
20代の頃、職場で同僚とランチをしているときになんとなく見られているような感じがしたのですが、気にしないようにしつつグラスで飲み物を飲もうとした時。
これが確か初めて症状が出た時だったと思います。
首が、ぐらぐらっと揺れたんです。
飲み物が唇のところまできて飲もうとした瞬間でした。
手は大丈夫でしたし、グラスを落としたり中の飲み物がこぼれたり、というようなことは一切ありませんでしたが、ただ首(と顔)が不自然に震えたんです。
何これ?と思いましたが、誰にも気づかれていないようでしたし、他人から見ると大したことない震えだったのかもしれない、と自分に言い聞かせて何事もないフリをしました。
でもその後も同じように、誰かに見られている?と思うような時(例えば「乾杯」の挨拶の後にちょっと飲む時とか)、ぐらぐらっと揺れることが多くなりました。
誰も見てない、大丈夫、と自分に言い聞かせてもダメでした。
ちょっと高級なレストランに行くと、ソムリエの方がテイスティングで先に少しワインを入れてくださることがありますよね?味見してみてください的な。
あんなの、絶~~っ対に無理な状況でした。
そういう場面では、一緒のテーブルの他の人にお願いして私はいつも遠慮してました。
食べ物でも震える?
そのうち、飲み物だけではなく食べ物でも震えるようになってきました。
共通しているのは、私が他人の目を意識している時。
誰かに見られているかもとか、誰かに見られていたらどうしようとか。
そんな不安な気持ちでいると、口に入れる瞬間にぐらぐらっときます。
だから、家でのんびり自分だけの時にその症状が出ることは皆無でした。
この頃からこれは一体何なんだろう?と少し悩み始めて、人前で飲んだり食べたりをできるだけしないようにしていました。
SAD(社会不安障害)かもしれない
どうして首が震えるのか、不安に思ってネットで調べてみました。
すると、首が震える、人の目が気になる、そんな私を苦しめている症状がSADという心の病気として紹介されていました。
私はまさかと思いながらもチェックテストを受けて、あまりにも当てはまる症状ばかりなので驚きました。
でも、その時の私には心療内科へ行くことはとても高いハードルでした。
心の病気だなんて誰にも相談できない、そう思ってひっそりと自分がSADかもしれないということを心の奥にしまいました。
転職 面接でSADを実感
その頃の私には、なりたい職業がありました。
その職業の資格を無事とれたのは良かったのですが、問題は就職活動でした。
面接で面接官を目の前にすると緊張して、とにかく首が震えるんです。
震えないようにしなければ、と思えば思うほど逆効果。
私の首と顔が不自然に震えるのを見た面接官の方の怪訝な顔を見て、「ああやっぱり私が震えてるのは他人から見てもわかるんだ」と悟りました。
それでも「震えてるからってそんな理由だけで落とさないはず!私の熱意をしっかり伝えるんだ!」という気持ちで頑張りました。
(今から思えば、SADなのに震えながらもよく頑張ったよ私!と思います。)
…でも、結局採用はされませんでした。
が、その後臨時の社員として働きませんか、という声がかかりました。
正社員でなかったことはとても残念でしたが、とにかくその世界に飛び込みたかった私は二つ返事でOKしました。
震えたのに採用してもらえた(臨時ではありますが)ことで、弱い自分でも認めてもらえたのかもというホッとした気持ちになったのを覚えています。
と同時に、たくさんの人に見られているという状況で今までになく首の震えが起きたことで、やっぱり私はSADなんだろうなぁと実感しました。
転機、大人数の前でのプレゼンテーション
30歳になった私は順調に仕事をこなしていました。
臨時の社員からの始まりでしたが、実績を積んだことで派遣会社に登録することができ、色々な職場で働いてたくさんの経験をさせてもらっていました。
派遣だったので特に責任ある仕事がまわってくることはなく、その点でもSADを持つ私としては助かっていました。
そんなある日、新しい業務が舞い込んできました。
それは、大人数の前でプレゼンテーションをしなければならないというものでした。
時間は1時間ほど、40人ほどの前で私一人でしゃべらなくてはなりません。
少なくとも10回はその業務につかなければならないようで、初めての責任重大な仕事でした。
どうしよう、怖い。真っ先に浮かんだのはそんな気持ちでした。
でも、緊張してしまって首が震えて恥ずかしいからできません、なんて到底言えません。
あなたの仕事だからお願いね、と。やるしかない状況でした。
「これが私の仕事だ。ちゃんとやらなければ」
「でもSADの症状が出て最後までできなかったらどうしよう」
私の中で二つの気持ちが渦巻いて、準備をしながらも本当に苦しみました。
そして、ついに心療内科へ一歩踏み出してみようかと思い始めたのです。
長くなってしまいました…。
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